新聞記者
日本アカデミー賞を受賞した「新聞記者」みた。今年ワースト級。まず、痛烈な政権批判をやってのけたこと自体はすごいし、制作側の志は認める。その映画が賞まで取るなんて、日本は表現や言論の自由が守られた素晴らしい国だなと安心できる。が、映画としては近年稀に見るローレベル。20年前のテレビドラマ??みたいな演出やセリフの言い回し。
あらすじ(Filmarks)
東都新聞記者・吉岡(シム・ウンギョン)のもとに、大学新設計画に関する極秘情報が匿名 FAX で届いた。日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育ち、ある強い思いを秘めて日本の新聞社で働いている彼女は、真相を究明すべく調査をはじめる。一方、内閣情報調査室の官僚・杉原(松坂桃李)は葛藤していた。「国民に尽くす」という信念とは裏腹に、与えられた任務は現政権に不都合なニュースのコントロール。愛する妻の出産が迫ったある日彼は、久々に尊敬する昔の上司・神崎と再会するのだが、その数日後、神崎はビルの屋上から身を投げてしまう。真実に迫ろうともがく若き新聞記者。「闇」の存在に気付き、選択を迫られるエリート官僚。二人の人生が交差するとき、衝撃の事実が明らかになる!
以下、違和感があった部分を箇条書きにすると、
・FAX
・父親が自殺した話を軽々しく娘にする?あの白人記者
・内閣調査室なんであんな暗いの?悪の組織を表現したつもり?
・部下をお前って呼んだり、命令口調の上司が酷い。松坂桃李はいくつか知らないけどシム・ウンギョンに初対面でタメ語。秘書にもタメ語。
・セリフが全て説明的。てかもはや説明。
・本田翼演じる妻は完全に蚊帳の外。
・松坂桃李は物凄い覚悟の上あの行動に出たんじゃないの?上司からああ言われることくらい予想できたよね?何絶望してんの?
といった感じ。全体通してシリアスなんだけどやってることが拍子抜けするようなことだから終始 seriously what am I watching??? って感じ。
もっとハラハラしてエンターテイメント性に富んで、最後にグサっときて真剣に考えさせられる映画たくさんあるよね。「凶悪」とか「トガニ」とか、自分の正義のために家庭を犠牲にせざるを得ない葛藤がしっかり描かれる。新聞記者では何があっても都合良く本田翼が出てきて聖母のように受け入れてくれる。女性への甘えがやばい。「湯を沸かすほどの熱い愛」かよ!あまりに父権的、パワハラ、女性蔑視が酷い。実際の社会がそうなのかもしれないけど、それなら批判的な姿勢で描くべきでは。
韓国映画が本家のアカデミー賞取ったりしてる中で、辛辣な言い方だが、新聞記者は恥かしいレベル。例外的にひとつだけ好きなシーンは、松坂桃李のスマホ入力がめちゃめちゃ早かったところ。また、関係ない話だが松坂桃李はこういった正義の善人よりも、「彼女がその名を知らない鳥たち」や「娼年」で演じたような、性的に常軌を逸した人物の方がはまるのではないかと思う。