シネフィルはつかれる

観た映画なるべく書く映画通信。年間watch数300本弱。

TED 2

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あらすじ(Filmarks)

バイト先で知り合った前作からの彼女タミ・リンと結婚したテッド。親友ジョン(マーク・ウォールバーグ)との悪ふざけも変わらぬ毎日の中、やがて、テッドは子供が欲しいと願うようになる。しかしそのために必要なのは、テッドが人間であるという証明。困ったテッドは美人弁護士サマンサ(アマンダ・セイフライド)に自身の弁護を頼み、法廷へと乗り込むが…。

 

確か飛行機の中で観て、笑いが止まらず大変な思いをした記憶がある。TED 1 同様、アメリカのエンタメパロディ&オマージュに富んでいて深みがある。図書館でのブレックファストクラブのダンスシーンはとてもキュートだった。「ジョナ・ヒル」「ジャスティン・ビーバー」であんなに爆笑することは後にも先にもないだろう。

 

本作のテーマは「人権」である。テディベアのぬいぐるみであるテッドが人間であるか所有物であるかを論点に裁判が行われる。過去に白人は黒人を所有物 (奴隷) として扱っていたが、今はそれが間違いだったと証明されている。そこをポイントに弁護士と協力して、テッドは見事人間と認められ、人権を勝ち取る。下品の金字塔のような映画だが胸が震えるほど感動した。

 

相模原殺傷事件の植松聖は、元交際相手の女性によると、TED 2 を観て犯行を勇気づけられたという。喋れるか喋れないかで人間とそれ以外を区別したのだろう。テッドは喋れるから人間とみなされた、という短絡的な解釈はどこから来たのか。むしろこの映画を観て抱く感想は逆だし、テッドが喋れるからという理由だけで人間とされた訳ではないのは明確だ。石原元都知事の障害者への「人格発言」も似たような思考回路から出た発言だろう。http://wwwave.net/blog/arok/ishihara/index.html

 

また、植松は2016年の米大統領選挙期間のトランプの発言にも勇気づけられたという。現大統領の排他的な思想と発言が日本で重大なヘイトクライムを触発したという報道はアメリカでされているのだろうか。トランプ本人はこの事件のことを知っているのだろうか。このことをトランプが憂いていないであろう事実を憂いている。事実は人生は小説より奇なりと言うが、これまで様々な映画で様々な「アメリカ大統領」を観てきたが、現大統領はその誰よりもやばい。( 26世紀青年アメリカ大統領の方がましである。)

 

SNSで見られる植松擁護にも辟易している。「障害者が罪を犯しても罰せられないのは人間とみなされていないから」という主張をしたようだが全く成立しない論である。もちろん植松が説明したような障害者介護の現場の苦しさはもっと認知されるべきだし、制度も整えられるべきだ。でも擁護のしようはないよ。

 

TEDから話がそれまくったが、痛感させられたのは、受け取り方は本当に人それぞれだなということだ。こんなに正反対の解釈をされ、あんな事件を起こされ、製作陣がいたたまれない。